17日、よくわからない拍手のコメントをいただきました。
…ちょっとどう対応していいかわからないのですが…。
ここは別に伝言板ではないので…ね?
お話の感想などのコメントをいただけるのは大歓迎ですが・・・。
拍手お礼を更新しました。
ちょっとお食事をテーマにしてED3、ED2とあとちょいちょいとアキラを書いていく予定です。
ビトロとかも書きたいですね。
というわけでこちらにひとつお話をおろしますね。
このお話をアップしたのはだいぶ前ですよね…。
*ブランコ*
黄昏の中でキィィ、キィィ、とブランコが揺れる。
そのどこか哀愁を感じる音に気づいてアキラは車椅子を押す手を止めた。
「ちょっと寄ってこうか」
アキラはそうシキに囁きかけて、小さな公園の緩やかなスロープを上っていった。
寂れた公園には誰もいない。
「…最近追っ手が少なくなってきたと思わないか?……あったかくなってきたし、もうちょっと昼にも出かけられるようになるといいよな」
ブランコの隣にシキの乗る車椅子を停めて、アキラはちょん、とブランコに腰掛けた。
だんだんと寒さも和らいできていて、よく見れば芝生には黄色い花が咲いていた。
アキラはそれに目を留めてわずかに口元をほころばせる。
「施設にいたときは…人がいないときを見計らってこうやってブランコ乗ってたな…」
小さくブランコを傾がせながらアキラは隣のシキへと語りかける。
それはアキラの癖だったけれどこの行為を…語りかけることをやめようとは思わなかった。
「シキ…また俺のこと…見てくれるよな。…名前…呼んでくれるんだろ?」
隣で動かないままどこかを見つめるシキの頬をアキラがそっと撫でる。
この頬の冷たさだけがどこか懐かしかった。
少し哀しげに微笑みながらアキラは少し強めに足を振ってブランコを揺らした。
キィィイと鎖が軋んで独特の音を鳴らす。
「……待ってるから」
アキラはシキに聞こえないように小さく呟いて軽やかに地面に降り立った。
「帰ろうか…シキ」
オレンジの光が二人の頬を照らした。
意思をなくした赤い瞳が夕日を受けて一瞬生気を取り戻したように見えて、アキラは小さく息をのんだ。
そして…すぐにその息を大きく吐き出した。
シキの小さな変化にアキラはいつも希望を抱いて、すぐに勘違いであったと…悟るのだ。
膝の上の手の位置、とか少し動いた瞳、とか。
シキが"戻った"のではないかと、思うのだ。
「……帰ろう」
一度目をゆっくりと閉じてから、アキラはやわらかく微笑んで車椅子を押して歩き出した。
夕日の中、二人の影が長く伸びた。
[1回]