お…ひさしぶりです。
今回は初!リンアキです。
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*an ordinary holiday*
リンの髪は綺麗だと、思う。
俺の髪とは比べ物にならないほど、細くて、きらきらしている。
二人でソファに座って、リンの話を聞きながら穏やかな休日を過ごすということにもだいぶ慣れた。
二つある食器とか、歯ブラシとか。
そんなものにも違和感をやっと覚えなくなって。
「なーに、アキラ、俺の顔に見惚れちゃった?」
ふふん、と笑いながらたずねてくるリンを押しやってそんなことない、と顔を背ける。
俺より背が高い(…悔しい)リンは俺の顔を掬い上げて上へ向かせた。
「ねー、アキラ、どうしたのさ」
言ってごらんよ、と微笑まれて俺はポツリと単語をこぼす。
「髪が」
「髪…?」
んー?と続きを促されて…しぶしぶと言った風を装って言葉を紡ぐ。
「リンの髪は綺麗だな、と思っただけだ」
「…それだけ?」
ぱちぱちと音のしそうな程長い睫を瞬かせてリンが首を傾げた。
「それだけだ。悪かったな」
多少そっけないような言い方になってしまったのはこの際仕方のないこととしよう。
「なーんか嬉しいなぁ」
てっきりからかわれるものだと思っていたからそのリンの言葉に拍子抜けする。
まさか喜ばれるとは思ってもみなかったわけで。
訝しげに僅かに眉を寄せればリンは義足ではないほうの足をそっと俺の足に寄せた。
「…」
「アキラが俺のことちゃーんと見てくれてるんだなってわかるじゃん?…だからさ、嬉しいよ」
「…ちゃんと見てるさ」
ちゃんと見てる。
時折義足を撫でたり、道端の猫と戯れたり。
よく首を傾げる…癖とか。
「うん。そうだね。俺もアキラのことちゃんと見てるよ…ってかアキラしか見てないんだけどさ」
「…っ!!」
ははっと笑ってリンは抱きついてきたけれど俺はきっと紅く染まってしまっているだろう自分の顔を想像して顔をしかめる。
きっとまたからかわれるに違いないのだ。
「…ホントだよ。アキラしか見えないんだ」
好きだよ、と呟いてリンは小さく笑った。
いつものように俺は何も答えを返せずにただ大人しくその腕の中に納まっている。
穏やかな休日。
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あとがきとかその他を折りたたんでおきます~。
[2回]