先日書いた、"その名前"の続き的な…ものです。
特に何も解決しませんでしたが…。
アキラにあーんってさせるグンジが書きたかっただけです。
なんかあーんって可愛いですよね。
ちょっとネタを膨らませるために久しぶりにPCの咎狗をやろうとおもっています。
未だにTBには手付かずですが…。
あーなんか書きたいものが頭の中でぐるぐるしてる感じです~。
*dessert*
今日の"仕事"を終えて帰ってきたグンジはアルビトロにやかましく言われないようにシャワーを浴びて食堂に向かった。
時間は昼時、正に食事の時間だった。
椅子にどかっと腰掛ければ、伸ばした足先に何かが当たってグンジは乱暴にテーブルクロスを捲った。
「っお前…ここで何してんの」
雫の滴る髪のままグンジは瞬間動きを止めた。
「?」
アキラが食堂のテーブルの下にもぐっていたのだ。
しっかりと目が合って。
カウと揃いのレザーをまとったアキラは日を追うごとに一層と人離れしていくようだった。
「でてこいよ」
アキラは暫くじっとグンジを見つめた後ゆっくりとそのしなやかな体をグンジのほうへと乗り出すようにしてテーブルの下から顔を覗かせた。
己の膝に頭を乗せたため、グンジは何とはなしに撫でてやる。
アルビトロが丹念に手入れをしているからだろうか、さらさらとした髪は意外とさわり心地が良かった。
アキラもおとなしく撫でられるに任せている。
給仕が食事を運んできて初めてグンジは己の空腹を思い出して。
ステーキを切り分けてもくもくとグンジは食事を進める。
アキラを膝に乗せたまま。
メインを食べ終えて、丁寧にカットされた林檎をほおばるとアキラが身を起こしてグンジの隣の椅子へとよじ登る。
そして皿の上に載った林檎に鼻を近づけてくんくんと匂いを嗅いだ。
「……欲しいのか?」
食べかけの欠片をほら、とアキラの目の前に差し出せばもう一度アキラは匂いを嗅いだ。
警戒しているというよりは、不思議がっているというほうが正しいかもしれない。
空いた手でグンジは林檎をかじりながらみているとぺろ、と舌を出してアキラは舐めた。
「舐めんのかよ…」
齧れよ、とグンジはため息をついた。
「口開けろ…ほら…あーんってしてみな?」
己の口をあーんと開ければアキラは首を傾げながらもグンジの真似をしてあーんと同様に可愛らしく口を開けた。
その口の中に林檎を放り込む。
「そんで、噛め」
指示されたとおりにもごもごとゆっくりと咀嚼してアキラは微笑んだ。
「……」
「なんだ…ヒヨォ、あんまりその猫ちゃんにかまってっとビトロに殺されるぜぇ?それによォ、ポチも気に入ってるみたいだしよ」
凶悪な顔で面白そうに笑ってキリヲが囃した。
そのままグンジと同様に椅子にすわり、料理を待つ。
「メシやってただけだっつの」
はん、と鼻で笑ってグンジはがたんと立ち上がる。
「俺は別にこいつと遊んでやったわけじゃねーの!」
「どうだかなァ」
くつくつと笑ってキリヲはちょいちょいとグンジの足元をさした。
「あぁ?」
イライラと指差された先を見ればアキラがグンジの足元にぴたりと寄り添っていた。
はぁとため息を吐いてグンジはしゃがみこんだ。
「ほんと…お前どうしたんだよ」
アキラは答えることなく小首を傾げただけで。
グンジのため息だけがただ音を伴ってそうして消えていった。
[8回]
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