*あの日*
横たわる
その白肌に指を這わせて
閉じられたその双眸を思い出し
柔らかな髪を梳き
そっと口付ける
血の匂いのする
甘い肌に舌を這わせて
噛み付きたい衝動を抑え
優しく腕をまわし
睦言をささやく
握り締めたクロスが手のひらにくいこんで
まるで
あんたが残した熱のように
じわりと俺を侵すくせに
その目に俺を
…映してはくれない
あの熱を失いたくはなかったのに
確実に手のひらからこぼれていく砂のように
意識の欠片がこぼれていく
どんなに足掻いても
もう止めることはできないのだと
俺の力ではどうにもならないのだと
そう
気づいていたんだ
俺にあんたが微笑みかけた
あの日に
もう
気づいていたんだ
******************