久しぶりにお礼を更新しました!
本当に…久しぶりですね;
1周年おめでとう!のコメントを下さったみなさま、ありがとうございましたv
すごく嬉しかったです!
これからも頑張ります~。
こちらに以前の拍手お礼をひとつおろしておきます。
********************
*おふろ*
大きな窓のベルベットのカーテンをそっと開けてアキラは僅かに目を見開いた。
音もなく、ふうわりと無数の雪が夜空に舞っていたからだ。
少しずつ積もり始めており木々や石畳などうっすらと雪化粧を施されていた。
「シキ…雪、降ってる」
「…」
ちらりとシキは一瞥をくれただけで己の刀の手入れに戻った。
「きれい」
ほぅ、とため息をつきながらアキラの白い指が窓をそっとたどっていく。
シキは刀を一度確かめるように振ってから鞘へと戻す。
そこまでしてやっとシキはアキラの傍まで歩を進めた。
アキラはカーテンをその身に巻きつかせてふふ、と笑う。
柔らかなベルベットがアキラの肌を優しく撫でる、その感触をアキラは割りと気に入っていた。
「何度言えばわかる、そこは冷えるから寄るなといったはずだが?」
カーテンの裾を持ち上げてシキはこれ見よがしに眉を寄せた。
「俺…ここ好きなんだ…いろいろ見えるんだよ…シキも見えるよ」
遠征から帰城したシキをアキラはここから見つけるのだ。
真っ先にここからその姿を認めて、そしてアキラは出迎えに階下へと急ぐ。
「…」
シキは何も言わず、ただカーテンからアキラを引き剥がした。
アキラはシキにそのまま抱きついてふるりと一度震えた。
「……シキ…さむい」
この部屋の温度は適温に保たれているはずだが、アキラの服装といえば相変わらずシャツ一枚なのだ。
窓が大きな分カーテンを開ければ冷気がそこから忍び寄る。
それをアキラはわかっていない。
否、それともアキラはそれを承知しているのだろうか。
シキにはその判別はつきかねたが(実にどうでもいいことだ)抱きついてきた体の温度が少しだけ低いということはすぐにわかった。
「だから窓に寄るなと言っただろう」
怒らないで、というようにアキラは更にぎゅっとシキに抱きつく。
言葉を封じ込めるかのように。
「……お風呂…はいろう?」
唐突にそれを思い出したようにぱっとアキラの顔が輝く。
一人で勝手に入れ、と言うつもりだったシキは温かな湯の温度を想像して僅かに口角を引き上げた。
浴室の窓からはさぞかし雪が綺麗に見えるのだろう。
雪見風呂というのも悪くはない、とシキは思い直す。
「…先に行っていろ」
嬉しそうにアキラが頷いて、浴室へと消える。
それを見届けてからシキは小さく息をつく。
(甘やかしすぎか…?)
諦念にも似た感情を吐息とともに吐き出して、シキは浴室へと向かった。
[0回]
PR