いつの間にかカウンタが30000を超えていて驚きましたっ。
ありがとうございます~っ!
それと18日にブログ開設1周年を迎えていました。
当日はすっかりと忘れ、20日に思い出す始末。
18日に書き込みできたらよかったのですけど。
まさか1年も続けられるとは思わなかったので驚いてます。
1周年企画…なにかできたらいいのですが(そういって10000ヒットの時も何もしませんでした…ね)
まだまだ書きたいお話もたくさんありますしがんばりたいです。
true bloodもしたいんですけどね…!
とりあえずこれは10月までお預けです。
秋までは忙しいですがちまちまと書いていくのでどうかまたお暇なときに覗いてみてくださいませ。
更新…結局週末になってしまいました…。
すみません。
梅雨の時期ですから、雨のお話をひとつ。
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*chilly kiss*
雨音がアキラの聴覚を常に支配する。
朝からさぁさぁと降り注ぐ雨は決して雨脚を強めることなく、ただ降り続いている。
梅雨に入ったこの時期はアキラは一日中部屋にいることが多かった。
なぜか体調が芳しくないらしく、寝込むほどではないが気だるげに外をよく眺めていた。
「…っ…!」
アキラが唐突に目を覚まし息を飲むようにその身を起こした。
暗い室内。
まだ夜明けにも程遠い時刻。
窓の外には遠く門扉の明かりがかすかに見える程度で、すべてを夜の暗闇と雨が覆い隠していた。
アキラの隣にはいつものようにシキが眠っていたが、弾むように起き上がったアキラに怪訝そうにその瞼がゆっくりと上がる。
わずかな物音に反応するほど眠りの浅いシキならば珍しくもないことだった。
「……」
そのまま無言でシキはわずかにその身を起こし、息を荒げているアキラをじっと見つめた。
「…シキ…」
心細げにシキの名をつむいで、アキラは隣にいるシキのほうを向いた。
その存在を確かめるように震える指を伸ばしてシキの手のひらをきゅっと握る。
「シキ……」
冷たいシキの肌にそれより冷えたアキラの肌が触れ合って、じわりと温度がなじむ。
いつもならばシキと比べるまでもなくアキラの肌は熱く、その温度にシキが片眉をわずかに上げた。
冷えたアキラの肌がシキの熱を奪う。
カタカタと小さく震えるその手をシキは無表情に見つめる。
「…アキラ」
アキラは何も応えずにシキの手を持って自分の頬に宛がえた。
その頬は手のひらよりもわずかに暖かく、シキは小さく息を吐く。
その頬が涙で濡れていることに気づいたからだ。
揺れる瞳が暗闇の中わずかに潤んでいた。
雨の日にはたまにアキラがこういう状態になることがあった。
もう以前の記憶などないはずなのに、雨が続くとふ、と以前の"アキラ"の気配が見え隠れする。
アキラはその状態のままシキに抱きついて。
シキとアキラの素肌が触れ合う。
震える唇でアキラがそっとシキに口付けた。
アキラにしては珍しく触れるだけのキス。
何かをシキと共有するかのように、戦慄く唇でそっと。
シキはただアキラの口付けを受け入れて、冷たい手のひらでアキラの腰を抱き寄せた。
赤い瞳は閉じられることなく、射抜くように、今は長い睫を伏せたアキラを見ていた。
暖かい涙が一滴シキの頬に落ちる。
ゆっくりとアキラがその口付けを終えて、シキを見つめる。
…すぐにシキがその赤い瞳を閉じて、小さく笑う。
本当にわずかに口の端を引き上げただけの笑み。
「…もう眠れ」
アキラはそれに返事をすることなくシキの胸にそっと体を預け、目を閉じた。
すぐにアキラは穏やかな寝息を立て始める。
それを確認してからシキはアキラの髪をそっと梳いた。
外はまだ細かい雨が降り続いていた。
まるで空から垂らされた糸のように天と地上をつないで夜を覆い隠す。
止む気配のない雨音の中、シキとアキラは深い眠りへと落ちていった。
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あとがきはつづきから。