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唇のあわいからあなたへ甘い毒を注ぐ。幾度も、幾度も。
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お礼SSを書かせていただいてます。
踏まれた方はコメントか拍手でご一報くださいね。
シチュエーションなどリクエストいただけると助かります~。



ぱちぱち

プロフィール

HN:
coffin
性別:
女性
自己紹介:
無類のシキアキスト。
次点でリンアキ、グンアキ。
そしてわりと好きなカウアキ。
なんにせよアキラは受けです。

あの可愛いさは反則…!
*************
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ご飯をたべないアキラ。

慣れない三人称もどきでお送りします。


APPETITE…?

寝室へ運ばれた彩の綺麗な料理たちにほとんど手をつけぬうちにアキラはフォークをおいて食べることを放棄した。

「もういらない…おなかいっぱい」

ふるふると首を振ってひらりと椅子から降りるとアキラはぐぐっとちいさく伸びをする。
そんな些細な動きにも丈の半端なシャツが細く白い太腿が見え隠れさせて、アキラの危うい色香を周囲へと放っていた。

目のやり場に迷うように視線を泳がせる給仕係の男はそれでも勤めを果たそうとなんとか言葉をつむぐ。
その肢体から目を離し、そしてまた引き寄せられるようにアキラを窺って。

「シキ様から…アキラ様にきちんとお食事を摂らせるよう仰せつかっております。もしお好きなものがあればなんでもお作りしますから」

なんなら食べてくれるのか、ということなのだろう。
ぴくりとその男の言葉に反応してアキラが振り返る。

「なんでも…?」
「えぇ、もちろんです」

途端に嬉しそうな顔をする男がアキラは滑稽でたまらなかった。

「シキがいい」
「え?」
「俺がほしいの、シキだけなんだ」

凍りついた男は応えあぐねて冷や汗を流す。

なんだ、つまんないの。
アキラはふわりと笑って部屋を後にした。

シキの気配をたどって城の中を歩くアキラは上機嫌だった。
しばらくはシキがこの城にとどまることを知ったから。
しばらくはここを留守にすることはないと知ったから。

疑うことなく重厚な扉を押し開ける。

「アキラ様…っ」

シキが近くにおいているのだからそれなりに有能であろう幹部たちはさすがに立ち上がりはしなかったが、その美しい姿に息を呑み目を離せないものも少なくなかった。
そしてその身に宿す非ニコルというウイルス。
何十倍にも薄められたニコルを服用する幹部たちにとって、アキラは惹かれてやまない存在でありながら恐怖の対象でもあった。

「シキ…」
いまだ振り返らないその主の下に歩み寄ってその膝に頭を乗せる。
軍議の途中であろうがなんだろうがアキラには関係ない。

「書類は明日までに処理しろ。軍議は以上だ」

アキラの髪を梳きながら言い放ったシキの言葉に慌しく幹部たちが部屋を後にする。
彼らの賢いところはアキラに必要以上に近づかないところだった。
下手をしたらシキの不況を買うどころではすまない。明日の命さえも保障されてはいないのだから。

「食事は済んだのか?」
「うん」
その皮の手袋を口だけで脱がしてアキラはその骨ばって長い指に口付ける。
「…お前のことだ、どうせ一口二口なのだろう」
「だってお腹すかないんだよ」
アキラはするするとその膝によじ登ってシキと向かい合う。
「お前は何なら口にする?それとも俺を困らせて楽しんでいるのか?」
痩せ細ったアキラの体を見れば誰だって何かしら口にさせねば、と思うのは当然だった。
シキは以前のアキラの体型を知っているためか、以前にもまして最近はアキラにものを食べさせようとしていた。
「そういうのは本当にシキが困ってから言わないとだめだよ」
「…確かにな」
握ったままのシキの指をつるりとアキラが口に含む。
ちゅ、ちゅ、と音を立ててざらりとした舌がシキの人差し指に絡む。
「…食材の話をしていただけだが?」
「シキがいいの」
ふふ、と笑いながら懸命に舐めるアキラをシキはしばらく見つめた後に彼を抱えて寝室へと歩を進める。
その間にもアキラはその指を己の口元から離すことはなかった。

 




結局アキラは果物ならある程度は食べるということが分かったのだが、それはまた別の話。


********
あとがきは続きからー。

拍手[2回]

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THE EFFECT OF KISS


最近、あれがやけにおとなしい。

以前なら俺が帰ってくるころを見計らって他の男を寝室へ誘い込んでいたりしていたものだが。
ただ俺が帰ってくれば必ず出迎えに現れ、甘えるように名を呼ぶところは変わらない。
その、声を聞くたびに、やはり遠征討伐に連れては行くまい、と思う。
あれには、城で主の帰りを待ちわびているのがよく似合う。

その声を思い出して以前からは考えられないな、と軽く嗤った。

あの、燃えるような瞳。
こちらの視線を跳ね返すように、挑んでくる。
その瞳が、はじめはただ、もの珍しかっただけだ。
金の毛をした猫を思い出させたからかもしれない。

 

もちろん今はそれだけではない。
あれをそばに置くことを俺が決めた。
離しはしない。

 

車が城へと近づくにつれあれの気配が強くなる。

 

あの刃物のような瞳も今ではめったに見れなくなった。

その代わりのように頻繁に目にするようになった快楽に身を焦がす姿も飽きないものなのだが。
以前は快楽に溺れまいと必死に抗っていたが、今では進んでその中に身を投じ、積極的に俺を求める。


それも、悪くない。

 

トシマにいたころに比べてずっと素直になったが、従順というわけではない。
そのたびに俺は躾をして、あれの身に所有者を教え込む。

もっとも、躾が功を奏しているかどうかは定かではない。

 

存分に抱いた後、あれは身を摺り寄せて俺の名を呼ぶ。

その声にかすかに感じる感情に名前をつけるのはまだ早い。

いや、名前などつける必要もない。


とんだ腑抜けた考えだ。

 


音も衝撃も立てずに、乗っていた車が門扉の前で停車する。
開けられたドアから外へ出れば一糸乱れぬ雑魚どもの列が俺を出迎えた。


見向きもせずにその中央を歩く。
こういった演出は無意味だとは思うが不必要だとは思わない。
雑魚どもを従えるには時に必要なものだ。

門扉の先には珍しくあれがいなかった。
また誰かを誘い込んだのかも知れぬ。
それならそれでいい。
相手を斬り、あれに仕置きをするだけの話。


すぐ傍らの男にいくつかの指示を出す。
そのとき、近づいてくる気配にすぐに気づいたが俺は目も向けずに指示を続ける。


「シキ」


周りの兵が音にならないざわめきを起こす。


まったく、仕様のないやつだ。

駆け寄ってきて、ふわりと腰に抱きついたその頭をなでてやる。
まだ、目は合わさない。

 

「…おかえり、シキ」

 

さぁ、アキラ。
そのすべてを俺にさらせ。




********

あとがきはつづきからどうぞ!

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生ぬるいですが性表現ありです。
だめな方はお気をつけくださいね。



MELT ME

シキはまだ帰ってこない。
今回はちょっとだけ長い。
1ヶ月もシキは俺にひとりで何をしろって言うんだろう。
シキが、いないのに。

だけど、もうすぐ帰ってくる、って俺にはわかる。

体を流れる血が、俺に教えてくれるから。

シキが近づいてくる。
もう、すぐそこまで、きてる。

じっと窓に張り付いて外を見ていたら、やっぱりシキが帰ってきた。
いつもの黒い車からシキが降りる。
黒くて、ほんのひとかけら赤いシキ。
ざわざわと血が騒ぐ。
自分でも気づかないうちに顔が笑ってる。
そうか、俺嬉しいんだね。


綺麗に並んだ兵士たちの中央をシキが歩いて、そうして正門をくぐる。
そこまで見てから、俺は立ち上がった。

きぃぃ、と扉がすこしだけ軋む音を立てて開く。
明らかに見張りがぎょっとして慌てて姿勢を正した。
「アキラ様…っ」
俺が出てくることなんて、わかってたくせに。
シキの帰りを俺が出迎えないわけがない。

「…どいて」
邪魔なんかじゃなかったけど、物言いたげなその視線が面倒で。
「お部屋と違って外は冷えます。今日は気温が低いのでせめてもう一枚上に何か羽織られたほうが…」
確かに部屋を一歩でた回廊の床はひんやりと素足に冷たくて、少しだけ身震いをする。
でも俺はシキのシャツを素肌に一枚、それだけでいい。
「関係ないよ…シキを迎えにいかなくちゃ」
今度こそ俺はその兵士の脇をすり抜けて、シキの元へ急ぐ。
俺の精一杯の速さで。

迷うことなく階段を下りれば、指示を出しているのか、シキは何かをずっとしゃべってた。
俺には難しくてよくわかんない。
見えるのは横顔だけ。

「シキ」

まだそのシキの姿が見えるか見えないかの距離で呼ぶ。
シキはこっちを見ない。
聞こえていないはずがない。
だってシキの周りの人間がこっちを見てる。

…どうして?

ててて、と駆け寄ってその腰の辺りに抱きついた。
「…おかえり、シキ」
ふぅ、とシキが小さく息を吐く。
それは俺にしかわからないくらいに、本当に小さく。
「遅い。お前は主の出迎えも満足にできないのか」
「怒らないで、シキ。…だって部屋の前に立ってるやつがうるさかったんだ」
「ふん、どうだかな」
からかわれてる、ってわかるけど、唇が少しくらいとがるのは許してほしい。
だって、俺、嘘、言ってないよ。
「いい子にしていたか?」
「うん。俺、ずっと部屋にいたよ」
最近では気まぐれに兵士を部屋に誘い込むことも少なくなった。
少し飽きたから。
でも俺の相手を殺すときのシキは綺麗だと思う。
すごく、綺麗。

腕を伸ばしてシキの頬に触れる。
そうしてやっとこちらを向いた瞳に俺はすごく満足して、無言でキスをねだる。
「…んっ…んぁ…ふ……し、き…ぃ」
すぐに与えられた口付けが俺の思考を徐々に溶かしていく。
力の抜けきった体はいつの間にかシキに支えられていた。

名残惜しさみたいに銀糸が俺とシキの間を伝う。
片腕で抱えられて、歩き出したシキの肩口に顔をうずめればシキが喉を鳴らして嗤った。

 

「あっ…あ…んぅ……ひぁ…っ」
熱い。
シキで俺が満たされる。
このとんでもない快楽はシキじゃないと得られない。
肌が触れあうだけで、名前を呼ばれるだけで、それだけで。
「んんっ…ゃん…シキ、も…っと」
そうやって宙を蹴り上げていた足をねだるようにシキの腰に絡ませる。
突き上げられるたびに俺がシーツを握り締めるから皺がたくさんよっていく。
上質なベッドはトシマのあの部屋と違ってぎしぎしと音を立てることはないけれど、スプリングが効いているせいでまた聴覚とは別のところで俺を高めていく。
「…おまえはどこまでも淫らだな」
その言葉の割りには俺の髪を梳く手も、ところどころに与えられるキスもひどく優しい。
「…し…き…っ」
追い立てるように突かれる速さがあがっていく。
半ば泣き声が入り混じったような喘ぎで俺は啼き続ける。
「…アキラ…」
「…ぁっ…あ、あ、あ…ゃん…!!!」
呼ばれたことに呼応するように意識がはじけた。

 

シキが満足するまで抱かれた後、うとうととまどろみながらシキに甘える。
この時間が一番好きだ。

「しき…」
意味もなく名前を呼ぶのはいつものこと。
ゆるやかに、するするとシキの手が俺の頬をなでる。
きもちいい。

「少し眠れ…」

落ちかけていた瞼をシキの手で塞がれる。
起きたとき、シキは俺の隣にまだいるかな?

いたらいいな。
うん、いたら嬉しい。

いつもより少しだけ温度の高いシキの手のひらを感じながら俺はゆっくりと眠りに落ちた。




*********
あとがきは「つづき」からー。

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rewrite*/甘利はるき様の所からお借りした「凛、と10のお題」から。
アキラがぼんやりこんなこと考えてるといいなぁ、と。


1.凛、と伸ばされた背筋

シキがまた出かけていった。
帰ってくるのはあさって。
…だから俺は今はひとり。
出かける直前までシキに揺すられ続けた体は自由に動かない。
まだ気だるい体の奥には熱いシキの残滓が残っているはずだった。

「…シキ……」

そっと呟いた声は部屋にすぅっととけていった。
静かな静かな部屋。
ここには何も届かない。
喧騒も、情報も何も。
シキが、そうしたんだ。

大きな窓が一つ。
そこから見える外の景色で俺は時間の経過を知る。
…まぁそんなこと大して必要じゃないのだけれど。

「シキ…はやく」

はやく、帰ってきて。

もう一度名前を呼んだけれど、やっぱりすぐに消えてしまった。

そういえば昔は俺がシキを呼んでもこっちを向いてくれることなんて、滅多になかった。
呼びかけに振り返ってくれることなんて、なかった。
いつも顔と意識を少しだけ俺に向けて、「…なんだ?」って聞く。
それだって機嫌がいいときだけで。

無視されることなんてしょっちゅうだった。
答えの返ってこない背中を見つめて皮のコートばかりが目に焼きついた。
うるさい、なんていわれればいい方でひどいときにはそのまま気絶させられることもあって。


今はどうだろうって俺は考える。
広いベッドの上でころりころりと転がればシーツがゆるりと体に絡む。
糊のきいていたシーツはすっかり柔らかくなって、俺の肌を優しく包む。

シキは俺の名前を呼んでくれるようになった。
アキラ、って囁かれると俺はもうそれだけで熱い吐息が漏れてしまう。
俺もシキ、って呼ぶようになった。
前はあんた、ってしか呼んでなかったね。

なんでだろ。

ふわりふわりと霧散しそうな意識をかき集めて、やんわりとクッションを抱きしめる。
シキは昔に比べると俺のほうを、向いてくれるようになった…のかな。
呼んだら答えてくれるようになったきがする。
それにシキは少しだけ優しくなった。
俺の頭をよく撫でてくれるし(いい子にしてたらさ!)たくさんキスしてくれるようになった。
思い出して、小さく笑う。
シキに撫でられるのも、キスするのも好きだ。

それってシキは俺のほうを向いてくれてるっていえるのかな。
キスするときは体は俺のほう、向いてる。
心は…わかんない。

シキといるときはそういうこと、考えない。
考えられないし、考える必要もない。

記憶の中のシキはいつも俺に背中を向けてる。
黒くて長いコートがきれいにはためいて、ブーツがこつん、こつんって鳴る。
トシマのあの部屋で毎日のようにシキが俺を抱いて、終わったらすぐに部屋を出て行く。
俺はその背中をじっと睨んでたから。
だから背中しか覚えてないのかな。
それとも地下を通ったときの背中かな。
手をひかれてはいても俺はずっとシキの後ろを歩いてたから。

目を閉じると真っ先に浮かぶのはすっと伸びて、揺らがない背中。
いつもそう。
今はきっとシキの瞳のほうを見てることのほうが多いのに。
ぴりぴりと空気を振るわせるシキの雰囲気。
綺麗な、シキ。
凛とした、背中。
いつも遠い。

昔はそれが悔しかったようなきがする。
シキに負けるものかって思ってた。

今はぜんぜん思わないけど。
代わりにシキの素肌の冷たさと熱さをしった。
たまには爪あとだってその背中につける。
そうするとシキは哂う。
抱きしめたときに背中に回す腕、指でゆっくりシキの背骨をたどる。
その感触だって知っている。
覚えている。


そうだ、あさってシキが帰ってきたら、まず名前を呼ぶよ。

「シキ…」

動いた拍子に、こぽりと腿を伝った液体を指で少しだけ掬って、頬に塗る。
ふふって笑って瞳を閉じる。
そうやって名前を呼んだら、シキは振り向いてくれるかな。

振り向いてくれなかったらその背中を俺が抱きしめるんだ。
後ろからぎゅってしてあげる。

そうしたら背中、見えなくなるね。

何が見えるかな。
シキの見てるもの、俺にも少しは見えるかな。

ねぇ、シキ。



「はやく帰ってきてよ…」

 

やっぱり声は静かな余韻を残して消えた。


*********
あとがきは「つづき」から。

拍手[1回]

シキの眼が好き。
あかい、あかい瞳。

この世界に唯一つの色。

夕日とだって、ルビーとだって違う。

「…しき」
「なんだ?」

名前がただ呼びたくて、つぶやいた言葉に返事が帰ってきたのは意外だった。

機嫌のいいシキの胸に寄り添ってベッドの中でわずかに身じろぎする。
ゆるゆると腕を伸ばしてその首に絡めて。

「…」

そのまま体をすこし動かしてシキのおでこにキス。
シキは何もいわないでじっと俺を見てる。
俺のしたいようにさせてる。
そんなシキがおかしくて、くすくすと笑って俺はキスを続ける。
鼻筋にキス。
頬にキス。
両の瞼。
耳。
首筋。

そろりと下っていけば突然顎を掬われる。

「そんなに足りないか?昨晩あんなに与えてやったろう?」
口の端をわずかに吊り上げて愉快そうにシキが笑う。

にやり、とシキが笑う。

「…いつも足りないんだよ…いつでも…ほしい」

ここにいる時間だってそう長くはないのに。
昨晩、城に帰ってきて、そのまま俺を抱いて。
そして朝になった今でも彼が俺の隣にいることなんて稀なのだ。

うれしいのだと、分かってほしい。
シキが今ここにいて俺はとても幸せなんだって、わかってほしい。
言葉にしたことはないけれど。
常ならば翌朝にぬくもりさえも残していってはくれないのだから。
いつもシーツの冷たさでアキラは目が覚めるのだ。

彼は忙しいのだと侍女たちは言う。
言外に俺などにかまっている暇はないのだと匂わせて。
…そんなの知らない。
シキは俺の所有者なんだから。
ちゃんと帰ってきて、それで、俺におかえりって言わせてくれなくちゃ嫌だ。

シキ。
シキ。
シキ。

その赤い瞳が俺を捉えて放さない。


俺の言葉を待っているシキの目をただじぃっと見つめればするりとシキが俺の輪郭をなでる。
その手のひらを取って、唇に押し当てる。
「シキがどんなに俺のこと抱いてもすぐまた欲しくなるんだ」
「…可愛いことをいう」
ふっとシキの顔が緩む。

熱い吐息が近づいて、唇を食まれる。
やわやわとした口付けは彼らしくないけれど、それでも心地はよかった。
啄ばまれ、そして離れ。
その繰り返し。

「シキ…」
堪えきれなくて、名前を呼ぶ。

シーツの海にシキと溺れる。
まどろみをたゆたうような幸福に満たされながら。

ずっとシキと一緒ならこのまま溺れ死んだって、かまわない。

拍手[1回]

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BrownBetty 
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