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唇のあわいからあなたへ甘い毒を注ぐ。幾度も、幾度も。
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キリ番は500単位で受付中です。
お礼SSを書かせていただいてます。
踏まれた方はコメントか拍手でご一報くださいね。
シチュエーションなどリクエストいただけると助かります~。



ぱちぱち

プロフィール

HN:
coffin
性別:
女性
自己紹介:
無類のシキアキスト。
次点でリンアキ、グンアキ。
そしてわりと好きなカウアキ。
なんにせよアキラは受けです。

あの可愛いさは反則…!
*************
リンクフリーです。
バナーはお持ち帰りくださいね。


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先ほどタイムシフト予約していた生放送を見てきました。
昨日本当にたまたまtwitterで”咎狗”と検索して生放送の存在を知りました。
twitterで検索したのも初めてだったのに(twitterのIDもっていないので!)見事に放送日で、なんか一瞬よく状況把握が出来ませんでした。
普段ぜんぜんそういうチェックをしていないのでびっくりしました。
ニコニコ動画も最近ログインしていなかったのでパスワードに戸惑うくらい久しぶりでした。
あと、ニコニコ生放送を見たのも初めてでした。
なんか幸運を使い切った気がします!
たとえそうでも後悔しないよ!

すごい鳥海さんがかわいかったです…っ。
アルビトロの部屋、いいですねv
すごく笑いました。
ヘッドフォンつけながらくすくすやってた私は相当怪しかったと思います。
1話は待ってれば放送を見れるのでもうちょっと我慢しますよ!
いまだに咎狗はTBやってないんですよね…。
PSPほしいな…。
DSしか持ってません。


下の記事はつなビィに携帯から投稿したつもりなのにブログに投稿されているというまさかの展開に私が一番びっくりしました。
興奮しすぎです。
でもCM見た瞬間に一人でキャーキャー言ってたのでやっぱり相当はしゃいでたんだと思います。
原画展楽しみです。

拍手[2回]

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福岡で萩尾望都の原画展があるなんてっ!
うれしすぎる^^
絶対行きます!
ポー大好き!!!

年明けにあるらしいけど前売り券買っちゃうよ!

拍手[0回]

niko.jpg
おかえり、ってアキラが迎えに来るとシキはとってもうれしそうに笑うような気がします。
…内心で。
でもふんわり笑ってるといいなぁとも思う!
二人きりだとアキラにだけ見せる顔があってもいいですよね!!
ラブラブしてる二人も好きです。
…シキ難しいですorz

今週中にafterglowをもう一話書きたいです!
来週からまたぼちぼち忙しくなるのでそれまでには…っ。
絵茶もできないままです…したいな~!

黒執事が終わってしまってしゅん…です。
でも咎狗も始まりますね。
咎狗ブームが私の中で再燃するのを期待しています~。
あと咎狗サイトも増えるといいなぁとも思っています!

拍手[3回]

頑張る月間持続中です。
長さを気にするのをやめました!
とりあえず完結目標で!
なんかこれも後から追記しそうな気がするけど…でもとりあえず投下しておきます!

**********************************************

シキの気配がする…様な気がするのに、どこにいるかはまるで分からなくて俺は…どうしたらいいかわからなくなる。
俺はずっとシキを待ってばっかりだった。
今の城に移る前も、そう。
うん、そう…きっと、ずっと。
寒い日も、暖かい日も、朝も夕も…ずっと。
シキが部屋に戻ってくれば無条件で嬉しかったし、その後はシキをどうやって部屋に引き止めるかしか考えてなかった。
シキの心も体も全部欲しかった。
俺のそばにいてほしかった。
シキがいないと…不安になった。
だって俺はシキに変えられてしまったんだから。
もう、昔の俺とは何もかもが違う。
シキが作り出した俺は、シキがいなければ存在意義を失ってしまうのに。
あまりにもゆがんでしまった俺はシキがいないとだめだって分かってたけど、きっとシキはそうじゃないんだと思う。
だってシキがそんなに弱いわけない、から。
戯れのように俺を蹂躙して、時折痛めつけて、いきなりふっと優しくなる。
俺を抱いた後に、どこか満たされない目でシキは遠くを見る。
大概はその後に城の外へと出かけてしまうんだ。
…俺を置いて。
そのときのシキの中に俺はいない。
俺の中にはシキしかいないのに。
それが悔しくて…悲しかった。
少しでもこっちをみてほしくて男を誘ってみれば、始めの頃はそれなりに効果もあったと思う。
俺に手を出した男を殺した後は、シキはいつも激しく抱いてくれた。
それだけで生きてるって…感じた。
だけどそのうち俺もシキもそんなゲームには飽きてしまった。
俺はどうしたってシキ以外で満たされることはなかったし、シキだってそんなこと分かっていたはずだった。
何よりも俺達を結び付けているのはNicoleという絶対的な存在であって揺れ動くような感情なんかじゃなかったから。
そんな…脆いものじゃなかった…のに。

あの日、シキが出かけて…約束した日に帰ってこなかった。
待っても待っても…帰ってこなかった。
段々と俺は窓の外ばかり気にするようになった。
シキがはやく帰ってくればいいのにって。
そう、俺は待つばっかり。

…でも夜になればシキにあえた。
目が覚めれば…もうどこにもいなかったから夢だと分かっていたけれど、それでもよかった。
シキって呼ぶと頬を撫でて、髪を梳いて、キスしてくれて、俺がねだるだけ抱いてくれる…優しいシキ。
夢の中の出来事はいつだって俺に都合がいいようにできてる。
寂しい昼は前の晩に見た夢の中のシキを思い出そうとしたけれど、いつも顔がぼやけてはっきりとは思い出せなかった。
あの赤い瞳で俺のことを見て欲しいのに。
あの瞳に俺はずっと囚われたままだから。

俺はどうしてこんなことを考えているのか、不思議だった。
多分…シキがいないからだ。
シキと出会って俺は少しずつこうやって考えることを放棄していったから。
シキのための人形になって。
でもそれでいいと思ってた。
シキが全部俺から奪っていって、俺が空っぽになって。
それでいいと…思っていたんだ。

いつだってどうすれば上手くいくのか全く分からなかった。
だからいつも上手くいかなくて、俺はいつもシキを呆れさせてたに違いない。



"行方が分からず…"
"…亡くなっている可能性も…"

急に流れ込んできた記憶に苛立った。
シキが死ぬわけない。
なのに。
だから。
そんな嘘は聞きたくない。
俺を置いていくわけない。
俺は…シキの所有物だから。
最後にシキが俺を殺してくれるまで俺はずっとずっとシキのものなのに!!

"シキ様はどこにいるか知ってますか?"

ふ、と声が聞こえた。
その声に俺の苛立ちは更に増す。
俺がそんなこと…知るわけない。
俺にはシキしかいないのに、俺はシキのことを何も知らないんだ。
シキは何も俺に教えてくれなかった。

 


でも…俺だってなにも聞きはしなかった。


そこまで考えて俺は小さく声をこぼした。
俺……もっとシキのこと、知ろうとすればよかった。





記憶だけに縋るのはとても怖かった。
俺は、忘れたことさえ忘れてしまいそうだから。


*afterglow-12*


「アキラ、おはよう」

リンはいつものように身支度を整えてすぐにアキラの部屋へと向かった。
重たいカーテンを開けば、大きな窓から陽光が差し込んだ。
くすんだ空の広がるトシマでもそれなりに快適だとリンは思っている。
なによりもすっかり慣れてしまったというのはあるが。
相変わらず眠ったままのアキラに微笑むとリンはそっとその額に口付けた。

「夢の中にシキはいる?」

だから起きないの?とリンはそっと呟く。
もしそうだとしたらアキラにとって、どちらが幸せなのだろう。
返事のないアキラの額にもういちどやさしく口付けてリンは微笑んだ。

「…いってくるね」

軍帽をきゅっと被りなおしてリンは出て行く。
いつものことだった。


深く椅子に腰掛けて、たまっていく一方の書類に軽くため息をつく。
その中からシキ関連のものだけ選り分けながら読んでいけば更にため息が増えるばかりだった。
…シキに関する情報が一切入ってこない。
シキらしき男の情報もあれ以来入ってくることはなく、相変わらず捜索部隊とは連絡が取れない。
城の警備も考えるとこれ以上やたらと捜索隊を送るのは難しいように思えた。
かといってシキを探さないという選択肢もリンにはなく。
そしてアキラは未だ目覚めない。
…アキラが目覚めて今の状況がどうにかなるわけでもなかった。
アキラにとってはそのほうがいいのかもしれない。
だからアキラが目覚めればいいと思っているのは自分のためだと、リンは知っていた。
そうすれば自分の気も少しは晴れるのではないか、なんて淡い期待を抱いているのだ。

(最低だな…)

軽く自嘲すると余計に空しくなって、くしゃ、と前髪をかき混ぜる。
何もかもが上手くいかない。
すべてが後手にまわって、いつかきっと取り返しのつかないことになってしまうんじゃないかと、リンは不安で仕方がない。
アキラのことも、もっとやり方があったんじゃないか、と。
シキを待ち続けたアキラに、もっとしてあげられることはなかったのか、とか。
仮定はきりがなくて、考えても仕方のないことをぐるぐると思考せずにはいられなかった。
こういうときに限ってシキのことを思い出した。
いつでも迷いなく突き進んでいく兄を、うらやましく…思った。
しかしリンがそんな感傷に浸っているのもわずかな時間だった。
仕事をしなければ、と頭を切り替えてコンピューターをたちあげる。
慣れた手つきでパスワードを入力すると、不愉快な警告音とともにエラーが表示された。
打ち間違えただろうか、と今度は丁寧に打ち込んでも結果は同じだった。
その後いくつかの方法を試しても城内のネットワークに接続できなくてリンは首をかしげる。
胸元から携帯電話を取り出して管理部に電話をかければ、コール音が鳴るばかりで一向に応答しない。

「………?」

訝しげに眉を寄せてリンは電話を切った。
電話に出ない状態というものがよくわからなかったからだ。
それなりに人数はいるはずであったし、なによりもよっぽどのことがない限り電話やメールには即時対応が鉄則だ。
そのままもう一度電話をかけても同じ結果だった。
他の部署にも電話をかけてみるがどうも混線しているようでしばらくすると電話も通じなくなった。
全くもって仕事が進まないので結局リンは直接聞くか、と席を立つ。
……何が起こっているのか、全く分からなかった。

 

その部屋に設置してある数多くのモニターには城内のあらゆる場所が数秒ごとに切り替わりながら映っていた。

「はじまったか…」

ひとつの画面をじっと見つめると優雅に足を組み替えて、にやりと、男の口の端が引きあがる。
そのモニターの中には白衣の男が映っていた。
 

拍手[8回]

今日一日、時間があったので書き溜めたメモを片手にうんうん唸ってみました。
待っていてくださった方、拍手してくださった方、メッセージを下さった方、本当にありがとうございます。

********************************

*afterglow-11*

アキラの担当医は二人いる。
医師としてはもちろんだが、この二人は城内の地下にある研究所の研究員でもある。
医学者、という言葉の方が近いかもしれない。
アキラは部屋からほとんど出ないため、怪我をすることも風邪をひくこともほとんどなく、仕事といえば定期的に検診を行い、その健康に異常がないかを検査する役割を担っているだけだった。
とはいえその判断を誤り、もし万が一のことがアキラにあれば首が飛ぶことは確実だった。
職を失うという意味ではもちろんなく、事実上胴体と頭が切り離されるだろう。
…シキの手によって。

この二人がアキラを担当しているのはリンが来る以前から、と聞いて、なぜ二人なのか、とリンはシキに尋ねたことがあった。
最高機密であるアキラの状態を把握する人数が増えれば増えるだけ危険も増すように思えたからだ。

シキの答えは明瞭だった。
以前、自らの助手と結託してアキラを外へ連れ出そうとした男がいたのだ、と。
きっとその男が以前のアキラの担当医だったのだろうということは容易に想像がついて、リンは押し黙るしかなかった。
研究室の中で2トップの二人は互いのスタイルに対し何かと反目しあっているのは割合有名な話だった。
だからこそシキはあえて二人同時にアキラの担当医に指名し、互いに互いの監視をさせているのだ。
また緊急時以外は二人同時でなければアキラの部屋へは立ち入れないことにもなっていた。

この男達の名を成田と望月といって、なんとも印象深い二人だったのでリンはすぐに名前を覚えてしまった。

成田の年齢はおそらく40代ほどでダークブラウンの短髪に柔和な笑顔が特徴の中肉中背、望月は成田より若く20代の半ば頃、長めの黒髪と酷薄な口元に皮肉ばかりを乗せるひょろっとした痩せた男だ。
白衣もいつも糊のきいたぱりっとしたものを着ている成田に対し、望月はいつ洗っているのか分からないようなくたびれた白衣に両手を突っ込んで歩いているところが城のあちこちで見られた。
二人とも研究員の中ではずば抜けて優秀で、他の追随を許さない。
もともとが優秀な人材ばかりの研究室内でその二人の能力は一種異様ともいえた。
Nicoleの研究をそれぞれに進め、定期的にシキに報告する。
この二人の研究成果によって明らかになった事柄も多く、適合率に関してのデータの採取なども積極的に行われていた。
シキの血を採取することが許されているのもまたこの二人だけであり、研究員の中では格別の報酬と権限を与えられている。



アキラが眠りについてから徐々にその体から延びるチューブが増えていく。
それがたまらなく嫌なのに、それを引き抜く勇気もなく、リンはいつものように午後のひと時をアキラのそばで過ごしていた。
規則正しい呼吸は乱れることなく、わずかなその胸の上下運動を見てまだ大丈夫だ、と。
そんな確認しか、リンにはできないのだった。
針が刺さるせいでアキラの手の甲や腕には針の跡がいくつも残っているのが痛々しい。

ガラガラと医療器具の乗ったワゴンを押しながら例の成田と望月が入ってきた。

「…そろそろ今の針の位置も変えなきゃいけませんね」

そういったのは成田だった。
リンはきゅっと唇を引き結んで腰掛けていた椅子から邪魔にならぬように立ち上がる。
成田は一度リンに礼をとってからアキラの上掛けを軽く捲る。
二人はてきぱきとアキラの点滴を取替え、いつものように状態をチェックしていった。
さらさらとカルテに書き込みをしながら望月が"いつまでここにおいておくつもりです?"と素っ気なくリンに聞く。

「…何の話だ」
「もちろん眠り姫の話ですよ」

望月が口の端だけで笑う。
形だけの敬語には、もちろん敬意は含まれていない。

"いつまでここに?"

その言葉にはいろんな意味があるように思えてリンは逡巡する。

"シキがいないこの城にいつまでこうして寝かせておくのか”

リンはそう問われている気がした。
この二人はシキについての現況は知らされていないのだから、深読みのしすぎかもしれない、とその可能性を打ち消しながらも妙に気にかかって仕方がなかった。

「…いつまででもシキ様が望まれる限り」
「あぁ、そう意味ではなく。………そろそろ"下"へお連れする許可がいただきたいんですが」

下、とは地下にある研究室を指している。
シキも月に一度程度は血液の採取と検査に降りていっていた。
アキラも自身への輸血用としての血液確保に定期的に採血へそこへ行かねばならなかった。
もともと血の薄いアキラは採血の後は日がな一日ぐったりと過ごすことが多かったし、なにより薬品の匂いが嫌だと唇を尖らせていたことをリンは不意に思い出す。
その度にアキラはシキに嫌だ、と繰り返し訴えてはいたが、当然それに取り合われることはなく。
ただ、まるで宥めるようにシキがアキラと連れ立って研究室へ訪れることが多かったのだった。

「下の部屋へお連れして検査をしながら目覚めを待つというのが最善かと思いますが」

機具もすべて揃ってますし、と望月は言葉をつむぐ。
そこで初めて成田がふ、と顔を上げた。

「私はここで経過を見るのがよろしいかと思います」
「…理由は?」
「何よりもアキラ様の安全を第一に考えるべきでしょう」

穏やかな声で語る成田は確かに望月の言葉を否定していた。
丁寧に上掛けをなおし、ベッドを整える。

「精査も済んでおりますし、研究所の方が人の出入りは多いですから、このままここでアキラ様の状態を見守るべきだと思います」
「俺は自分で検査したいだけだ」

望月の言葉に成田が表情を変えぬままカルテを小脇に手挟む。

「…私の検査項目に何か不満でも?大体あなたはその期間に休暇をとっていたんでしょう」
「あいにく他人は信用しないようにしているもんで。あんたは自分が一番正しいって顔してるが、年食ってるんだからあんまり自分の頭を過信するのはどうかと思うがな」
「私よりも経験の少ない貴方に言われたくありませんね」
「年取ってるだけで優劣つけようとするのは愚かな人間の愚かしい最たるところだ」

放っておけば延々と続きそうな言葉の応酬にリンが制止をかける。

「言い分は分かった。とりあえず考慮はしておくが、成田の言うとおりとりあえずは警護の点も鑑みてしばらくは下へは移さない。城内の警備の枠も見直さなくてはならないから、その際にうまく人員が割けるようには調整しておこう」

リンが若干うんざりしながら返答すれば望月は軽く肩をすくめ、成田は再び綺麗に一礼をとって退室していった。
10以上歳が離れているのによくああしてやりあえるものだ、とリンは苦笑した。
笑ったのは酷く久しぶりな気がして、違和感の残る口角を指先で触る。

部屋を見渡しても生活感のない部屋にはアキラの面影なんてどこにもなくて、ベッドの上で静かに眠るアキラの存在感までも霞ませているような気がしてならなかった。
ベッド脇のチェストには引き出しいっぱいの真っ赤な折鶴が詰まっているはずだった。
細い指先に祈りをこめて、アキラは一体何羽折ったのだろう。
それを思うとどうにもやりきれなくてリンは凝った想いまでも吐き出すように深呼吸した。
ふ、と腕時計を見て仕事に戻らなくては、とアキラの額に口付けてからリンもまたこの部屋を去っていった。






夜更けにこつこつ、と控えめに靴音を響かせながらアキラの部屋の前に男が現れた。

「はいはい、どうも夜中までお疲れ様」

ひらり、と白衣をなびかせてやってきたのは…望月だった。
扉を見張る二人の男にひらひらと手を振って敬礼をやめさせれば音もなく扉が開かれ、望月は当然のように中に足を踏み入れた。
入っていったのは…彼一人だけ。

「眠り姫を起こすのなんて簡単なコト…王子様のキスがなくたってお姫様は起きれるのにね」

にやりと音もなく笑うと望月は白衣のポケットからケースに入った注射器を一本取り出した。
点滴の薬液を一時的に止めて留置針からチューブを取り外すと、チューブの代わりに注射器を宛がった。
たっぷりと時間をかけてごく少量の液体をアキラの体内へ送り込んでいく。
注射針の跡を残すと後々面倒になりそうであえてこの方法を望月は選んでいたのだが、どうにも時間がかかるのはいただけなかった。

望月が注射をしてすぐにその変化は起こった。
ぴくり、とアキラの体が震え、一時的に心拍数が上がる。
青白い体にさっと刷毛で掃いたように朱が灯り、苦しげに眉がしかめられていく。
ただそんなことには目もくれず望月は注射を終えるとそれ以前のように再び点滴のチューブを繋ぎ点滴を再開した。
しばらくすればふ、と表情が緩み元のようにアキラは眠るお人形へと戻ると彼は知っていた。
そのアキラの額の汗をガーゼでふき取り髪の乱れをなおすと望月は注射器をケースへしまい、ポケットへ滑り込ませる。

「リン隊長はまだ仕事中で執務室。シキ様は…どこにいるか知ってますか?お姫様?」

面白がるようにその耳元で囁くと望月は来たときと同じように何食わぬ顔で部屋を出て、回廊の先の闇へと身を消した。


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拍手[6回]

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BrownBetty 
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