ちょっと視点を変えて兵士から見たシキとアキラ。
ED2に慣れなきゃいけないなぁとおもいます。
書きにくい、書きにくいけど好きなんです。
他のサイト様の素敵なED2を見るたびに憧れが山積していきます。
キリ番も次はED2ですから頑張って書きたいものです。
最近たくさん拍手をいただきます。
とてもとても励みになります!
返信不要の方もぱちぱちだけの方もありがとうございます~。
しばらくしたらまた拍手用の文もあげたいなぁ…!
*the beauty*
コンコン、と規則正しくノックはいつも2回だ。
俺の中ではもうすっかりと定着してしまった。
夕の報告を任せられるようになって大分経つ。
何度報告を行なったか知れないのに、いつでもこの部屋の前に経つと緊張するものだ。
総帥の、執務室。
皆が憧れるアキラ様も大抵はここで総帥の執務の補佐をしていらっしゃるのだ。
あの美しいお姿を思い浮かべるだけでなぜこんなにも幸福になれるのだろうか。
不思議だ。
「入れ」
しばらくして聞こえた総帥の声に、知らず緩んでいた顔を意識して引き締めた。
「失礼いたします」
執務室続きの寝室から総帥がゆっくりとこちらにいらっしゃる。
タイを締めながらもその所作にはどこにも隙がなく、たとえどんなときであろうともこの方が倒される日など来ないような気がする。
いつものように怖いほど整った美貌はなかなか直視することができないが、はじめのうちは同じ室内にいるだけで目に見えない、なにかぴりりぴりとしたものに終始緊張し続けだった。
いつもはぴったりと閉じられている寝室へ続く扉。
総帥がその扉を閉めなかった為に視力だけはやたらと良い俺には見えてしまった。
奥にある豪奢なベッド。
その上に横たわった、抜けるように白い肌を惜しげもなく晒した…。
「どうした、なにか変わったものでも見えたか?」
革張りのチェアにゆったりと腰掛けた、揶揄するような総帥の声にあわてて報告を開始する。
総帥に見抜かれていると分かっていた。
それでも瞼の裏に焼きついた、映像が離れない。
力なく投げ出された腕と、床に散っている軍服。
乱れたシーツは今の今まで何が起こっていたかを如実に物語る。
どうしても艶やかなアキラ様を想像してしまう。
それはどうも禁忌のような気がしてぐっとこぶしを握った。
「…本日の報告は以上です」
「最近、西棟の警備の人数が若干多い気がするがどうなっている?」
「はい、先日アキラ様の指示がありまして今までより10名程増員しております。理由はお聞きしておりませんが…」
「…そうか。わかった。下がっていい」
「は。失礼いたします」
もう一度敬礼。
広い執務室を後にして、俺はやっと大きく息をつく。
見てはいけないものを、見てしまった。
長く報告を行なっているがこんなことは初めてだった。
否応なく頭の中で際限なく繰り返されるあの映像。
あれは間違いなく、アキラ様だった。
いつもの張り詰めたような雰囲気はどこにもなく、そこは甘やかな空気に満ちている気さえした。
ぴんと、糸を張ったような空気を纏って隙無く軍服を着込んだそのお姿があんなに色香漂うのも、少しだけ垣間見えた先ほどの美しさが知らず滲みでるからなのだろう。
「はぁ…幸せなのか、そうでないのか」
あれを見れたことを、幸福ととるか、不幸ととるかは難しいところだ。
これからしばらくは頭を悩ませそうな問題に俺は一人で頭を抱えた。
ただひとつはっきりしていることは誰にも言えないということだ。
窓に映った俺は想像よりも自分が柔らかい表情をしていることに驚いて、小さく笑う。
また軍務に戻らねばならない。
やらねばならぬことはたくさんあるのだ。
われらの主君と、あの美しいお方のために。
[5回]
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