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唇のあわいからあなたへ甘い毒を注ぐ。幾度も、幾度も。
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キリ番は500単位で受付中です。
お礼SSを書かせていただいてます。
踏まれた方はコメントか拍手でご一報くださいね。
シチュエーションなどリクエストいただけると助かります~。



ぱちぱち

プロフィール

HN:
coffin
性別:
女性
自己紹介:
無類のシキアキスト。
次点でリンアキ、グンアキ。
そしてわりと好きなカウアキ。
なんにせよアキラは受けです。

あの可愛いさは反則…!
*************
リンクフリーです。
バナーはお持ち帰りくださいね。


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*a sigh *


胸元のタグがしゃらりと音を立てた。
アキラは小さく息を吐いて中立地帯へとの歩みを速めた。
もうすぐ正午になろうかと言う時間だがトシマはいつもどおり人の活気というもののとはかけ離れた場所だった。

相変わらずの曇天もさすがに日中は僅かな陽光を透過して少しだけ廃墟たちも白さの度合いを増したように思う。


「アーーーキラァ」


前触れもなく突然呼ばれたことに対してか、それともその声の主が容易に想像がつくからか、はたまたその両方かは定かではないが、ピクリ、とアキラの肩が跳ね上がる。

眉根をぎゅぅっとこれ異常ないほど寄せてアキラは握り締めていたナイフの手を僅かに緩めた。

「…」

声がしたのは…上からだったな、とアキラはゆっくりと頭をめぐらせて見えるはずのピンクのパーカーを探す。
もっとも、探す間もなく灰色の廃墟群の中ではその男の"色"は浮いていた。
脱色しすぎて痛みきった金髪と鮮やかなピンク色のパーカー、首元に絡みつくトライバル。

アキラのちょうど真後ろのビルの、その3階部分の窓から乗り出すように…男が両手を振っていた。

いっそ無邪気とも見える笑顔で躊躇いもなくその窓から飛び降りれば猫のように着地してアキラのほうへ駆け寄ってくる。

声にならない声を諦念とともに吐き出してアキラはしっかりとその男へ向き合った。
処刑人がいるところにわざわざ顔を出すイグラの参加者はいない。
…それにこの男に声をかけられたら最後、気まぐれに付き合うしか開放される道はないのだとアキラはこれまでの経験で分かっていた。
なぜか…リン曰く"気に入られた"らしい。

"アキラってほんっと変わってる~"

そういってきゃらきゃらと笑う小柄な彼の姿を思い出してすぐに頭から追い払う。

「グンジ…」

「アキラのコトさァ、俺探してたんだよね」

いつも何が楽しいのかよく分からないようなことでグンジは笑う。
アキラはそれが不思議でたまらない。

「…俺を?」

「そうそう。ってことでさァ、付いてきてっていうかァ、連れてく?」

は?

とアキラが情けない声を上げた瞬間にはグンジはアキラを肩の上へと担いで疾走を始めていた。

「ちょっ…グンジ!!…下ろせって」

アキラの叫びもむなしく結局目的地までアキラが地面を踏むことは無かった。


「はい、到着~」

そう言ってグンジがアキラを下ろしたのは"城"の前でだった。

無言のままアキラはその"城"を見つめため息をつく。
…できれば来たくない場所の最たるところがここだ。
あの…アルビトロやキリヲの事を思い出すと気分が沈むのも仕方がないことだろう。

「アキラァ、ぼーっとしてないで早く~~」

ひょいひょいと先を歩くグンジがまた大声でアキラを呼び出しそうでアキラは大人しくグンジの後に従った。

 

 

「…で…?」

アキラの目の前には美しいオムライスがほわほわとした湯気を上げていた。
ここは"城"の食堂だった。
しかしアキラとグンジ以外の人影は見当たらない。

「ん~?オムライスじゃん、アキラ好きなんデショ?」

どこからそんな情報を仕入れたのだろうか。
アキラは半ば呆れながらそっと目の前の皿に視線を移す。

ヒャハッと笑いながらグンジは片手に握ったフランスパンに噛み付いた。
スライスされたものではなく、丸ごと一本だ。
鉤爪はがしゃんと音を立ててグンジの足元に放られている。
目にかかる前髪の隙間から綺麗な瞳がアキラを射抜く。

何か現実とかけ離れたような異様な光景にアキラはひくつく頬を感じながらグンジを見ていた。

「…俺に用事があったんだろ?」
「ウン」
「だから用事は何だ?」

おそらく幼い子供がやればひどく可愛らしいのだろう仕草でグンジは首を傾げた。

「だからァ、これがヨウジじゃん。ビトロがァ、好きなコはまずメシに誘えって言ってたからさァ~。なんだっけ?タシナミ?とかなんとかいってたな」

「…嗜み…?」

およそ目の前の人物とはそぐわない単語にアキラは眉をひそめた。
いつも…予測が付かない。

「たべねぇの?」

もぐもぐとフランスパンを咀嚼しながらグンジが不思議そうにアキラに尋ねた。

「……食べる」

グンジのことだ。
毒だなんて入れているわけでもないだろう。
気に入らないのならその爪で殺せばいいだけの話なのだから。
ちょうど昼を過ぎた時間だったこともありアキラも空腹を感じていた。
どうせ今帰れやしないのだ。
それにソリドよりかは幾分もまともな食事であることに違いなかった。

ぱくり、と一口食べてアキラの顔が僅かにほころぶ。
それは殆ど変化していないといってもいいほどだったが。
ふわりとして、かすかに甘く、中のチキンライスのトマトの酸味と合っていた。

「うまい?」

まるで子供のようにアキラの事を覗き込むグンジにアキラは小さくこく、と頷いた。

ゆっくりと二口目を掬うアキラをグンジは相変わらずフランスパンをかじりながら楽しそうに見ていた。

が。
何を思ったか突然にやりと笑った。

「なァ、俺にも味見さして」

そういうなりグンジはアキラに口付けて舌をするりとその口腔へと滑り込ませた。
その柔らかな唇やあたたかな舌を吸い上げて、くちゅりとした音を響かせながら唇が離れた。

「…っな!」

驚愕と羞恥とそれから整理しきれないあらゆる感情をない交ぜにして頬を紅潮させたアキラが唇をぐいと拭ってグラスから水を飲み干した。

唇を戦慄かせ、しかし言葉の出ぬままアキラはグンジの分も水をあおった。

「…美味シカッタ?」

悪びれずに笑うグンジにアキラは今日最大のため息をついて、力なく項垂れた。


**************

拍手[7回]

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予定を未定にしたくありません…。

とりあえずお話として書きたいものをノートにつらつら挙げてみました。
ED1~3、それからグンアキとかリンアキ、とかカウ+アキラ、とか。

オムライス、と書きたかったのに、なぜか私はオムレツ、と書いてました。
更に読み返したときに衝撃…!



"オムレス"


え…。
いや、どっちなんだ、オムライスなのかオムレツなのか、そもそもオムがレスってどういうことだ。
オムレットじゃないってことか!そんな馬鹿な!
とか一人で内心突っ込んだりしてました。
ただの阿呆ですいません。

afterglowの話の展開を考えてみたり、なんだかご要望の多かったED2を書きたいな、とか。
ちょこっとしか書いてないED1もたまには書かなくちゃっとか。
いろいろ思っては…いる…んです…ヨ?

とりあえず明日にはひとつ!
アップしますっ。
頑張る。
私きっとやればできる子。 

拍手[0回]

拍手のお礼とそうでないお話の区別がまるでつきません。
最近の拍手お礼が微妙に長いのが原因だと思います。
最初のお礼って今見たら凄く短かった…!!

カウンタが20000回っていて驚きました…!
踏まれた方はぜひご一報を~v

*待ち望むもの*

明かりもない部屋の中でアキラはシキを待っていた。
もう待ち続けて半日になる。
午前中にシキが帰城して、出迎えて。

"部屋で待っていろ"

そういわれてアキラは大人しくシキを待っているのだ。

「…シキ」

ぽつん、と灯された蝋燭だけがゆらゆらと揺れている。

月も出ない暗闇。
外を見ても何も見えなかった。
…シキのうそつき…。


「シキのばか…」

「誰が馬鹿だ」


はっとして振り向けば扉の前にシキが立ってた。
…なんで気がつかなかったんだろう。
いつもなら分かるのに。

「…なんで遅かったの…いつも…すぐ来てくれるのに」

「お前に報告しなければいけないことか?」

シキがにやりと笑う。

「ううん…いいよ…たぶんわからないし」

「そうだな…お前にはそんな事関係ないだろう?」

「うん…」

アキラはそっと近づいてくるシキに歩み寄って抱きついた。

「ねぇ…」

"キスして"

囁くように口にしてアキラはシキへと手を伸ばした。

拍手[0回]

頑張ってもうひとつ追加しましたー。
なんとなくafter glowの設定で。
冬のうちに冬の情景を書いておかないと…っ、と思うのです。
季節感を大事にするサイトでありたいな、と(笑)

というわけで。
ひとつお話をおろしておきますね。
拍手お返事を折りたたんでますー。

お返事不要の方も押してくださった方もどうもありがとうございます。
とてもとても励みになってますっ。
これからもがんばってお話を書いていきますー!

*fly*


窓の外をじっと見てた。

いつもと同じ風景。

そよ風が吹いて、怖いくらいにのどかな午後。
ううん、のどかなんじゃない。
ここはシキの城だから、静かなだけだ。

もうすぐ、シキ、かえって来るかな。
昼ごはんは俺の嫌いなカレーだった。
シキに怒られないだけ食べて、すぐにやめた。

視界を横切った黒いもの。
驚いてあわてて見ればその正体は青い模様も鮮やかなアゲハチョウだった。

ちょうちょ…って久しぶりに見た気がする。


俺はすぐに部屋を出る。
なんとなく、蝶がどこに行くか、気になった。

正面の入り口から芝生を歩いてひらひら飛んでる蝶を見つける。
ゆっくり追いながら俺はずっと蝶だけを見てた。

ハーブの小さな花の間をぱたぱた飛んでる。
俺の腰から胸の高さで、飛んでる。

さわさわと足の裏に触れる芝生の感触と風のにおい。
そのリアルな感覚とは違って、きれいな黒と青の蝶はなんとなく夢みてるような不思議な感じがした。

俺は手を伸ばすことも、近づくこともしないで、ただ蝶を見てた。
そしてそれは突然、ふわりと高く舞い上がって俺の手が届かない高さを、城壁を越えて城の外へと出て行った。

「…お前…どこまでいくの?」

 

…どこまでいけるの?

拍手[1回]

拍手お礼を更新しましたー!
なんとか有言実行できました。
よかったよかった。

ということでまたこちらにひとつおろしておきますね。
拍手のお返事は折りたたんでますv



シキ様の一人語り。
アキラが好きで仕方ないだけ。


*その耳に囁いて*


腕の中でアキラは先ほど眠りに落ちた。
意識がとけるようにとでもいうのだろうか、俺の胸に頭を預けてすぅっと寝入った。

そのアッシュグレイの髪を気まぐれに撫でればさらりとシーツに広がって新たな模様を描く。
点々と白い体のあちこちに咲く花は俺が散らしたものだ。
白い肌にはよく映える。
俺はこれが気にいっていた。
ふせられた睫が濃い影を落とし、その呼吸の深さから眠りが深いものであることが知れる。

飽きることなくさらりさらりと髪を弄う。
先ほどの会話を思い出してわずかに口元が緩んだ。


「シキ、シキ…出かけるときは起こして」
起きたときに俺がいない状況をアキラが嫌がっていることは知っていた。
だからこそアキラはこんな風に俺にせがむのだ。
「…一度だけ名前を呼んでやる。それで起きなければお前が悪い」
「……うん。わかった」
実際、こんな約束をせずとも出て行く際にはいつも名を呼んでから出かけていた。
それを…アキラが知らないだけだ。

耳もとで小さく囁いてやるとアキラはいつもくすぐったそうに小さく笑うのだ。
もちろん、寝ぼけているだけなのだが。

 

その顔はひどく穏やかで、起こしてやる気がうせるのだ。
腑抜けた顔だ、と笑うこともできた。
だが、もう少しだけ見ていようと思うのはなぜなのか。

「…愚かな考えだな」

先ほどまで交わっていたせいで俺の体も心地よい疲労を感じはじめている。
下らぬ考えを捨てて、アキラの鎖骨の近くにもう一輪、花を散らしてから俺もまた意識を手放した。

 

拍手[0回]

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