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唇のあわいからあなたへ甘い毒を注ぐ。幾度も、幾度も。
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キリ番は500単位で受付中です。
お礼SSを書かせていただいてます。
踏まれた方はコメントか拍手でご一報くださいね。
シチュエーションなどリクエストいただけると助かります~。



ぱちぱち

プロフィール

HN:
coffin
性別:
女性
自己紹介:
無類のシキアキスト。
次点でリンアキ、グンアキ。
そしてわりと好きなカウアキ。
なんにせよアキラは受けです。

あの可愛いさは反則…!
*************
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*afterglow-08*

シキが死んだ可能性もある、と報告をしにきた男をアキラが殺せ、といった。
こんなところで報告を受けなければよかったと思うも、それはもはや過ぎたことで。
緊急の知らせに気が急いたのがいけなかったのだ、とリンは奥歯をかみ締めた。
絨毯の上に音もなく落ちたひしゃげた鶴が踏まれる。
よれた翼がとても惨めだった。
そのままアキラはリンの傍をすり抜けてその男のもとへと近寄った。
王の愛妾と影で言われているアキラに言い寄られ、以前は多くの兵が城の主によって死を賜った。
彼もそれを思い出していたのだろうか、報告をしに来ただけの男は体を強張らせてアキラの様子を伺っている。
シキのものとされるアキラにむやみに手をあげることはもちろんできず、かといって報告途中のこの場から退出することもできず。

「シキが死んだって…本当にそう思ってるの?」
「いえ…その…あの可能性の…話、ですから…実際にそうだと決まったわけでは…」

リン相手にだと実に明瞭簡潔に話すこの男もアキラ相手となればこの有様だった。
脳髄が甘くしびれるような、芳しい香気を男は確かに感じていた。
己の中に宿る、その血がざわりと蠢いたような気すらして。
この感覚を城主とそして目の前にいる情人がより強く感じているのなら惹かれあい、あれほどまでに互いに執着する理由がわかる気がした。
王の愛妾に手を出して死んでいったかつての同僚たち。
顔すらおぼろげだが、死ぬとわかっていて手を出すなんて、なんて愚かなのだと、そう思っていた己が確かに今、彼らと同じように揺らいでいるのがわかった。
彼らもきっと同じだったのだろう。
そしてきっと、より強く、ラインに依存していればしているほど、この香気は強く香ってくるに違いない。
目の前にいる上司はラインを服用していない数少ない例外だからこの香りには気がつかないのだろう。
この状況から逃れるためには黙って目を合わせず、ただ立っているのが一番よいのだと、男はわかっていた。
下手に動けば何をしてしまうか、わからなかった。

「ふぅん…そうなんだ」

するり、と男の腰をアキラの指先がなでる。
男はいまだ硬直したまま動かず、リンもまたどうしたものかと眉を寄せていた。
そしてアキラがごくごく自然な動作で男の腰から短剣を抜き取った。

「ねぇ…シキの血を体の中に入れてるってどんな感じ?…キモチイイ?」
「いえ…っそん、な」

きらり、と光を反射してナイフがきらめく。
鞘から出された刃をアキラはうっとりと眺めた。

「ねぇ…シキがいなくなるってことは、ラインがなくなっちゃうって事なんだよ…?俺の血からNicoleは取り出せないんだから」

おもむろにアキラはその鋭い切っ先を指先で滑らせた。
一瞬の後、その指先からは瞬く間に紅玉が盛り上がり、そうしてぱた、ぱた、と音を立てて磨き上げられた大理石の上へと落ちていく。

「これ…舐めてもいいよ?」
「アキラ…さまっ」

抗うように首を振る男に、ほら、とアキラが男のほうへ手を伸ばす。
相変わらず零れ落ちる鮮血が男のシャツの襟元を汚した。
どこか惹かれるような瞳で男の視線がアキラの指先を追う。
僅かでもNicoleをその身に宿すものは非Nicoleに惹かれる運命なのだ。
それを認めるとアキラはにっこりと笑い、どうしたの?と男の頬をなでた。
緋色の痕跡が男の肌に残る。
それは鮮やか過ぎるほどに赤く。
アキラの指先が男の唇にかかる。

「俺の血も…シキのみたいに甘い匂いするの?」

"あげようか?"とアキラはにこりと笑んだ。
けれどその笑顔は虚ろなものだと、リンにはわかった。

そして顔に笑みを貼り付けたまま細い切っ先をアキラが己の首筋に向けた刹那、リンはアキラの手からナイフを叩き落し、その体をぐっと己のほうへと引き寄せた。
細い体はいとも簡単に傾いで、すっぽりとリンの腕の中に納まる。
リンが遠くへ蹴やったナイフが壁に当たって澄んだ音を立ててからはっとしたように男は体の緊張を解いた。
あまりの出来事に男は目を見開くばかりで混乱しているさまがありありと伝わってくる。

「……」

一方、どこかぼんやりとした瞳でアキラはリンを見上げるとその赤く輝く指先を舌でちろりと舐めた。
扇情的なその表情もどこか歪んで見えて、リンは僅かに顔をしかめる。
視線が、交錯する。

「ふふ…っあはははは…っ…はは」

突発的な発作のように笑い出したアキラはリンの腕を押しのけた。
そこまで強い拘束をしていなかったことと、やはりどうしてもアキラの好きにさせてしまうリンは払われた手にかまうことなく、アキラをただじっと見つめた。

…以前シキの留守中にふとしたことでアキラが怪我をしてしまったことがあった。
そのときアキラが"血が出なくてよかった"と、安堵したのをリンはよく覚えている。
"俺を傷つけていいのはシキだけだから"と他ならぬアキラ自身がリンにそういったのだ。
それなのに指先だけとはいえアキラは自らを傷つけた。
それがなによりリンは信じられなかった。
そして、自分の首筋にもまた同じように刃を宛がった。
本気だったのかどうかは分からなかった。
ただ…以前までのアキラならこんなことしなかったはずだった。


リンの目の前ではアキラがくすくすと笑い続けている。
アキラが確実に、狂気へと足を進め始めたのは明らかだった。
それなのに、リンにはどうやってそれを止めたらいいのか、まるでわからなかった。
どうしたらいいのか、方法ひとつ見出せない。

「アキラ…!?」

ふ、と笑い声がやむのと同時に、目の前でアキラの体が前のめりに崩れ落ちていった。
その細すぎる体を助けおこしながらも、きっとアキラの狂気は止められない、とリンは頭のどこかで確信…していた。

********************************
あとがきはつづきから

拍手[1回]

PR

最近たくさん拍手をいただくので調子に乗って拍手お礼を更新してみました。
内容はたいしたことないのに意外と長くなってびっくりしております!

わざわざぱちぱちしてくださってついでにコメントまで下さる方の熱意にいつも励まされております!
やっと重い腰を上げて昨日afterglowを書き始めました。
終わりが見えません!
重すぎる腰がまたすぐにでも床に着かないか心配です!
がんばります!

こっちに下ろしてきたお礼はまた特別短いですね。
いつ書いたんだろう、これ。
最後にお礼更新したのは5月の中旬だったので2ヶ月半くらい前ですね。
ちょうどいいころあいかなぁと思います。
ぜんぜん連載が進まないのに拍手お礼ばかり更新するサイトで非常に申し訳ない!


******************

*blind*

手のひらに感じるシキの熱。
俺よりも低い体温に安堵さえ覚え始めてる。

瞬間、赤い瞳が…ゆらめいたようにみえた。
部屋の隅で灯る蝋燭のせいだろうか。
俺は緩く首を振って目を閉じる。

この瞳にとらわれてもうどれだけ経ったのだろうか。

新雪に跡を残すように。
肌をじわりと侵す毒のように。
その存在が俺の奥深くまで入り込んで絡みついて…もうほどけない。

それに抗った日はもう遠い昔。
いや、物理的な時間など重要じゃない。

ただ、彼の傍で。
いまや願うのはそれだけだ。
目覚めてくれなくても…構わない。

俺の目を…もう見てくれなくても。

 


たとえもう…目覚めてくれなくても。

 

拍手[0回]

*幸福論*


アキラはいつもふわふわと歩く。
まさに、地に足が着いていない、という表現のようだと思う。
それが裸足によるせいなのか、それとも軽すぎる体重のせいなのかは分からないけれど。
わずかに左右に傾ぎながら、夢見るような瞳で城を徘徊するその様はどことなく夢遊病患者を髣髴とさせもして。
ただ、その瞳が追うのはきまっていつも一人だった。
俺が来る前はいろいろ"遊び"もしていたらしいけど…想像つかない。

「アキラ」
「………なに?」

扉を開けたところで回廊の向こうを歩くアキラの背中が見えて俺は早歩きで追いかけた。
昼間にアキラが城の中をうろつくなんて珍しい。
黒を基調とした城ではアキラのまとった白いシャツは特に目を引いた。
眩しいほどの白くほっそりとした足はすらりと長く、ただ痩せているというには若干病的な体はシャツをもてあましている。

「どこに行くの」
「シキのところ」
「シキには今は会えないよ」

普段の執務であればシキもアキラが入ってこようと特に邪魔をしなければ咎めることもない。
もちろんリンがそれに異を唱えるわけも無い。
しかし今日はNicoleの研究員の定例報告会の最中だ。
さすがにそこにアキラを入れるのはまずい。
もちろん、非Nicoleであるアキラをそうやすやすと彼らの目にさらすのは得策でないからだ。
研究自体はシキが選りすぐった精鋭が行っているはずだが助手ともなればいささか質は落ちる。
以前、アキラを研究対象としようとして無理やり拉致した男の事は記憶に新しい。
アキラはあれからしばらく注射針などにひどく怯えていた。
アキラが恐慌状態におちいるほど、そいつが何かを残したのかと思うとやりきれない思いでいっぱいになる。

「俺…シキに会いたいんだ」
「どうして?」
「…わからない」

すこしだけ悩んだあとにアキラはやんわりと首をかしげた。
さらり、と伸びた髪が揺れる。
髪を…アキラはなかなか切らせてくれない。
伸ばすにしても毛先をそろえなくちゃいけないのに。

「わからない?」
「シキの傍にいたいから…だから会いたいだけ」

アキラの言葉は簡単で、まっすぐで…だから時々はっとさせられる。
痛いくらい、胸に刺さる。

「もう少しだけ待ってて。そうしたら俺がシキのところへ連れて行ってあげる」
「もう少しって…どのくらい?」
「うん…そうだね。予定だと…あと1時間くらいかな」

当然その後にだってシキは仕事を控えてるけど…まぁかまわないだろう。
報告会が終わってからしばらくはデスクワークの予定だし。

「1時間…」

そっか…とアキラは呟いて今まで向かっていた方へと再び歩き出した。
このまま行ってもアキラの部屋は無い。
そしてこの先にはシキの執務室。
もちろんそこに…シキはいない。

「アキラ」

今度は視線だけで俺の呼びかけに応えるとゆっくりした足取りをとめる。

「シキを待つんだ…それもだめなの?」
「……それは…」
「だって…シキはすぐには俺の部屋にはきてくれないから…」

確かに執務室にいるほうが早くシキと会えるのは間違いない。
俺は僅かな逡巡の後、ゆるく頷いた。

「いいよ。じゃぁこれ持って」

書類ケースをアキラに渡してその体をひょいっと持ち上げる。
軽くて、細い体は見た目に違わずやっぱり壊れそうだった。
無意識に慎重になる足取りで余計な振動を立てることなく目的地まで足を運べば、どこか楽しそうにアキラが微笑んで。
…それだけで満たされる気がして。

いつもはシキが腰掛ける革張りのチェアに埋もれるようにしてアキラは座った。
膝を抱き寄せて小さく小さくなる。
いつもならそこに尊大にシキが座っているのにと考えるとその光景はどこかほほえましい。

「アキラ、俺まだ仕事が残ってるんだ…ここで一人でも平気?」
「…へいき」

わかった、と俺は頷いて念のため警備をまわしておくことにする。

「終わったらちゃんとシキ、つれてくるから」
「ん…」

こくり、とアキラは頷いて大きな窓へと目を向けてしまった。
癖のようにアキラは部屋でも外を良く見つめていた。
もっとも、こんな城の中でアキラがシキといることのほかに娯楽を見つけられないからそれも致し方ないことなのだけど。
それは健気過ぎて、少し……心が締め付けられる。

 

シキと執務室へと戻ればアキラの警護につけていた二人がさっと扉を開けた。
いつもはいないはずのその警備にシキが怪訝そうに僅かに眉を寄せるのを横目で確認する。
そのまま歩を進めれば奥にあるソファでアキラがすやすやと眠っていた。
シキのチェアはすわり心地は良かっただろうが、やはり寝るには不満だったのだろう。

「…………お前の差し金か?」
「アキラがシキに会いたいって言ってたから」
「部屋で待たせておけ」
「"シキはすぐには俺のところには来てくれない"って言ってたよ」
「ふん…当然だ」
「………もっと優しくしてあげればいいのに」

アキラのこと大好きなくせに。
シキのほうが実は自分から逃げている、と……思う。
こんな事いったら殺されそうだけど。

「優しく、だと?十分可愛がっているつもりだが」
「可愛がる、の意味がちょっとねぇ」

部屋には他の兵はいなくて、自然と口調が砕けたものになっていく。

「アキラは猫とか犬とか…ペットじゃないんだよ?いいじゃん、幸せだろ?こんなに自分のことを思ってくれる人がこんなにすぐ傍にいるんだよ?」
「あれは俺の所有物だからな」
「なにそれ、ほんといつ聞いても意味わかんないよ」
「その頭の悪さには同情すら覚えるな」
「あー、はいはい。自分のほうが数倍も頭悪いってことに気づいたほうがいいかもネー」
「貴様…」

ぎろ、とシキの目が俺に向いて。
なんだよ、俺と話してるときにアキラしか見てなかったくせにさ。
アキラしか、見えてないくせにぜんぜんそれを認めようとしないなんて。
アキラのほうがよっぽど人間できてるよ。

「まぁ、俺はこれから他の仕事あるから…1時間後に書類取りに来るよ」
「1時間も要らん」

たしかに30分もあれば余裕を持って終わらせることができる量だけど。

「違うって、俺が他の業務するのに1時間かかるんだ!だからそれまでシキは休憩でもしてれば?」

アキラと、とは付け加えなかったけど、どうせ言わなくたってアキラと過ごすに違いないのだし、俺はそうすると邪魔者だからなぁ。
シキのそばで幸せそうなアキラを見ると複雑な気分になる。
嬉しい気持ちと、少しだけ混じった嫉妬、それから寂寥と、後悔。
いろんなものがごちゃごちゃと俺を惑わすから、今日のところは自分から退場することにした。

ゆっくりと執務室の扉を閉めて自分の仕事部屋へと移動する。

「でも…アキラが幸せそうだから……いっか」

なんだかんだ言ってもやっぱりすべてはそこに帰結するのだ。

 


いつのまにか自然と俺は微笑んでいた。

********************
あとがきは続きから!

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最近毎日のようにぱちぱちしてくださる方々がいて本当にうれしいです。
何も無いサイトなのに本当にありがとうございます。

現在は突発的に書き始めた短編を仕上げている途中です。
明日か明後日あたりには公開できるかな…と思っています。
私が書くとリンがいい人に、アキラが幼くなりすぎるきらいがあります。
ED3の解釈を間違っているような気がふつふつとしますがいまさらなので放っておきます!

afterglowを好きだといってくださる方がいて本当にうれしく思いますっ。
いつも私は他の方の文章を読んで圧倒されて、"あれ、私もう書かなくても良いんじゃない?"とか思ったりしちゃうときもありますが、そういうお言葉をいただくとがんばろう、と思えます。
お返事不要とのことでしたのでここでちょっとだけ語ってみました。
ありがとうございますっ。
アキラを幸せにしてあげたいのでがんばります!

拍手[0回]

覗いていない間にものすごい数の拍手を戴いていて驚きと同時に少しびびってます…!
何ででしょう。
でもでもやっぱり拍手いただけるのは単純に嬉しいです~っ。
ありがとうございますv

ここ半年くらいまともに更新できてなくてほんとうにどうしようかなぁとおもいます。
もっとちゃんとやりたいのに!
と、更新されている他サイト様を見ると思います。
うーん、まぁのんびり自分のペースでやるのが一番だとは思いますが、私はのんびりしすぎている気がします。
まったく!!

拍手[0回]

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BrownBetty 
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